空き家を相続したらどうする?まず結論(3つの選択肢)

「親が亡くなり、実家が空き家になった。相続することは分かったけれど、この先どうすればいいのか分からない」——こうした声は、空き家を相続した方に共通する悩みです。

結論からお伝えすると、相続した空き家の選択肢は大きく「住む」「貸す」「売る(活用しない場合は処分する)」の3つに整理できます。どれが正解ということはなく、物件の立地や状態、相続人どうしの状況によって向き不向きが変わります。

30秒でわかるこの記事の結論

相続した空き家の選択肢は「住む」「貸す」「売る(または処分する)」の3つ。まずやるべきことは相続登記と、放置による負担増を避けるための早めの方針決定です。

  • 相続登記は相続を知った日から3年以内が期限(正当な理由なく怠ると過料の対象)
  • 相続放棄をしても、状況によっては管理責任(保存義務)が残ることがある
  • 放置を続けると固定資産税が上がるおそれがあるため、方針決定は早いほど負担が軽い

本記事では、空き家を相続したときにまず対応すべきこと、相続するかどうかの判断(相続放棄との関係)、放置するリスク、3つの選択肢の詳細まで、順番に解説します。断りがない限り、本記事の内容は2026年8月時点の制度に基づいています。

空き家を相続したらまずやるべきこと

空き家を相続した場合、まず対応が必要になることが3つあります。

  • 相続するかどうかの判断:相続放棄という選択肢もあるため、まず検討する
  • 相続登記(名義変更):不動産の名義を被相続人から相続人に変更する手続き
  • 空き家の管理:方針が決まるまでの間、放置せず適切に管理する

相続登記は、2024年4月から義務化されており、相続の開始及び所有権の取得を知った日から3年以内に申請する必要があります。正当な理由なく申請を怠ると、10万円以下の過料の対象になることがあります(法務省|相続登記の申請義務化について、2026年7月18日確認)。過去に相続した空き家も対象になるため、まだ登記をしていない場合は早めの確認をおすすめします。

相続登記の具体的な手順は、以下の記事でステップごとに解説しています。

あわせて読みたい相続登記のやり方を5ステップで解説|つまずきやすい点と対処法相続登記を自分で行う手順を、戸籍謄本の取得から法務局への申請・登記完了まで5ステップで解説します。窓口・郵送・オンラインの違いや、つまずきやすいポイントも法務局の一次情報に基づいて…
手続きに必要な戸籍謄本・住民票などの書類は、ケースによって異なります。ケース別の必要書類チェックリストは以下の記事にまとめています。

あわせて読みたい相続登記に必要な書類|ケース別チェックリストと取り寄せ方相続登記の必要書類を、法定相続・遺産分割協議・遺言の3ケース別に整理。戸籍謄本・住民票・固定資産評価証明書などの取得先と、有効期限の有無を法務局の一次情報に基づいて解説します。
相続登記の際には登録免許税もかかります。

なお、相続による不動産の取得では、登録免許税とは別の「不動産取得税」は原則としてかかりません。

相続したらまず「相続するかどうかの判断」「相続登記」「空き家の管理」の3つに対応します。相続登記は相続を知った日から3年以内が期限です。

相続するかどうかを判断する|相続放棄という選択肢

「古い実家を相続しても管理が大変そう」「他に相続したい財産がない」といった理由で、相続放棄を検討する方もいます。

相続放棄をすると、その空き家だけを選んで放棄することはできず、他の遺産も含めてすべて相続できなくなります。また、相続放棄をしたからといって、空き家の管理責任から完全に解放されるとは限りません。2023年(令和5年)4月に施行された改正民法第940条により、相続放棄をした人の管理責任(保存義務)は、「放棄の時点でその財産を現に占有している場合」に限って残ります。被相続人と同居していた、空き家の鍵を管理して自由に出入りできる状態にあった、といったケースが「現に占有している」に当たり、この場合は他の相続人や相続財産の清算人に引き渡すまでの間、自分の財産と同じ程度の注意をもって空き家を保存する義務を負います(民法第940条の条文解説、2026年7月31日確認)。

福田真志

福田真志(宅地建物取引士)

「相続放棄すれば空き家とは無縁になる」と考える方もいますが、占有している場合は管理義務が残ることがあります。相続放棄を検討する際は、この点もあわせて確認しておきましょう。

相続放棄をすると他の遺産もすべて相続できなくなります。放棄時点で空き家を占有していた場合は、管理責任が残ることがあります。

空き家を放置するとどうなる?方針決定を急ぐべき理由

相続後の方針が決まらないまま空き家を放置すると、負担が増えていくことがあります。

管理が行き届かない状態が続くと、市区町村から「管理不全空家等」や「特定空家等」に指定されるおそれがあります。指導を受けても改善されず「勧告」を受けると、固定資産税を軽減する「住宅用地特例」の対象から外れ、税額が上がることがあります(国土交通省|固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置、2026年8月11日確認)。放置リスクの詳しい段階(指導・勧告・命令・行政代執行までの流れ)は、以下の記事で詳しく解説しています。

あわせて読みたい空き家を放置するとどうなる?固定資産税6倍・過料・行政代執行のリスク空き家を放置するとどうなるか、固定資産税が最大6倍になる仕組みと罰則、行政代執行までの流れを段階を追って詳しく解説します。2026年7月時点の制度に基づく内容です。

放置を続けると管理不全空家等・特定空家等に指定され、勧告を受ければ固定資産税が上がるおそれがあります。方針決定は早いほど負担が軽くなります。

選択肢①:住む|自分または家族が住み続ける

立地がよく、建物の状態も良い場合は、相続人自身やその家族が住むという選択肢があります。住み続けることで空き家状態を解消でき、放置リスクも避けられます。ただし、リフォームが必要な場合は費用がかかる点や、遠方に住んでいる場合は引っ越しを伴う点を考慮する必要があります。

選択肢②:貸す|賃貸物件として活用する

立地がよく、初期費用をかけられる場合は、リフォームして賃貸物件として貸し出す方法もあります。空室リスクや管理の手間はありますが、家賃収入を得ながら資産を保有し続けられる点がメリットです。

「住む・貸す」のどちらであっても、遠方に住んでいて自分では管理しにくい場合は、市区町村が指定した民間法人に相談できる制度もあります。詳しくは以下の記事で解説しています。

あわせて読みたい空家等管理活用支援法人とは|制度の仕組みと相談できること令和5年の空家法改正で新設された「空家等管理活用支援法人」制度について、指定の仕組みと支援法人ができる業務を解説します。2026年8月時点の一次情報に基づく内容です。

選択肢③:売る・処分する|活用が難しい場合の選択肢

「住む予定もなく、貸すための初期費用もかけられない」という場合は、売却または処分を検討します。処分方法には、売却(仲介)・買取・解体して更地にする・空き家バンクへの登録・寄付(無償譲渡)・相続土地国庫帰属制度など複数の選択肢があります。それぞれの費用・向いているケースの比較は、以下の記事で詳しく解説しています。

あわせて読みたい空き家処分の方法7選|費用と手間で徹底比較空き家を処分する7つの方法(売却・買取・賃貸活用・解体・空き家バンク・寄付・相続土地国庫帰属制度)を、費用と手間の面から比較します。2026年8月時点の一次情報に基づく内容です。
売却先が見つからない山林・原野などの土地を、一定の要件のもとで国に引き取ってもらう相続土地国庫帰属制度という選択肢もあります。費用・条件・引き取ってもらえないケースは以下の記事で解説しています。

あわせて読みたい相続土地国庫帰属制度とは?費用・条件・引き取ってもらえない土地を解説相続した土地を手放して国に引き渡せる「相続土地国庫帰属制度」について、申請できる人・審査手数料と負担金の金額・引き取ってもらえない土地の条件を、法務省の一次情報に基づいて解説します…
老朽化していて仲介では売りにくい、共有名義で相続人どうしの話し合いがまとまらない、といった事情がある場合でも、買取という選択肢を知っておくと見通しが立てやすくなります。共有名義のリスクや、現物・換価・代償分割といった分割方法の選び方は相続不動産の分割方法4つ|共有名義のリスクと現物・換価・代償分割で詳しく解説しています。

相続した実家に畑や田んぼがついてきた場合は、農地特有の届出・許可が必要になるため、通常の空き家とは別に確認しておくべきことがあります。

相続した空き家を売却する場合、一定の要件を満たせば、譲渡所得(売却益)から最大3,000万円を控除できる税制優遇があります。期限は2027年12月31日までの譲渡が対象です(国税庁 No.3306|被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例、2026年8月11日確認)。

3つ相続した空き家の
選択肢(住む・貸す・売る)

3年以内相続登記の申請期限
(相続を知った日から)

活用が難しい場合は売却・買取・解体・空き家バンク・寄付・相続土地国庫帰属制度などの処分方法があります。売却時は3,000万円特別控除の対象になることもあります。

相続した実家の片付け・管理はどうする?

相続した空き家をどの選択肢にするか決めるまでの間も、遺品整理や日常的な管理は必要です。

方針が決まるまでの間の遺品整理・管理も必要です。全体の進め方は実家じまい、管理方法は管理の記事で詳しく解説しています。

空き家買取.comの買取査定について

本サイト「空き家買取.com」は、株式会社Triikuが運営しており、空き家・相続物件の直接買取を専門に行っています。

  • 宅地建物取引業免許番号:東京都知事(01)第111976号
  • 所在地:〒105-0003 東京都港区西新橋2丁目39番3号 SVAX西新橋ビル4F
  • 電話番号:03-6845-0996(受付時間 10:00〜19:00、年中無休)

(株式会社Triiku 公式サイト|会社概要、2026年8月11日確認)

「相続した空き家をどうするか、まだ方針が決まっていない」という段階でも、まずは物件の状況を伺うご相談を承っています。査定額を知ってから選択肢を検討することもできます。

よくある質問

空き家を相続したらどうすればいいですか?

まずは相続するかどうかを判断(相続放棄の検討)したうえで、相続登記と当面の管理を行います。そのうえで「住む」「貸す」「売る(処分する)」の3つの選択肢から、物件の状態や立地に合う方法を選びます。

空き家を相続するデメリットは何ですか?

管理の手間や固定資産税などの維持費がかかる点、放置を続けると管理不全空家等・特定空家等に指定され税負担が増えるおそれがある点が主なデメリットです。

空き家を相続したら相続税はかかりますか?

相続財産全体の評価額が相続税の基礎控除額を超える場合にかかる可能性があります。具体的な計算は個別の財産状況によって異なるため、税理士への相談をおすすめします。不動産(土地・家屋)の評価額の大まかな出し方は、以下の記事で解説しています。

あわせて読みたい相続税の不動産評価額はいくら?路線価方式・倍率方式の計算方法相続した土地・家屋の相続税評価額の計算方法を、路線価方式・倍率方式の違いと具体例つきで解説します。基礎控除額や税率を使った税額計算の流れ、貸宅地・貸家建付地の評価減額もあわせて紹介…

空き家の相続放棄をしたら管理義務はなくなりますか?

必ずしもなくなるとは限りません。放棄の時点で空き家を現に占有していた場合は、他の相続人や相続財産の清算人に引き渡すまでの間、管理責任(保存義務)が残ることがあります。

誰も住んでいない空き家を相続したらどうなりますか?

そのまま放置すると、管理不全空家等・特定空家等に指定されるおそれがあり、固定資産税が上がることがあります。早めに「住む」「貸す」「売る」のいずれかの方針を決めることをおすすめします。

空き家の相続登記は義務ですか?

はい。2024年4月から義務化されており、相続を知った日から3年以内に申請する必要があります。正当な理由なく申請を怠ると10万円以下の過料の対象になることがあります。

まとめ|まずは相続登記と方針決定から

  • 相続した空き家の選択肢は住む・貸す・売る(処分する)の3つ
  • 相続登記は相続を知った日から3年以内が期限。放置は固定資産税増のリスクにつながる
  • 相続放棄をしても状況によっては管理義務が残る

空き家を相続したら、まずは相続するかどうかの判断と相続登記、そして方針が決まるまでの管理に対応しましょう。そのうえで、住む・貸す・売るの3つの選択肢の中から、物件の状態や相続人どうしの状況に合う方法を選ぶことが、負担を軽くする近道です。

「何から手をつければいいか分からない」という段階でも、空き家買取.comでは物件の状況をお伺いするご相談を承っています。方針が決まっていなくても、まずは査定額を知ることから始めることもできます。